【インドネシア首都移転】ジャカルタに代わる新首都の場所や移転日程について

目次

インドネシアの首都【ジャカルタ】移転の概要

2019年にインドネシアのジョコ・ウィドド大統領によって首都を移転する計画が発表されました。
それはジャカルタからカリマンタン島(ボルネオ島)の東部に首都を移転するというものでした。
首都を移転することでジャカルタが抱える様々な問題や、地域による経済格差を是正する目的があり、
政府による3年間に渡る調査の上で移転先が選ばれました。

過去の政権でも首都の移転は何度も議論に上りましたが、様々な問題にぶち当たり実行には移されませんでした。
ジョコ・ウィドド大統領によって、遂にこの首都移転が実行に移されることになります。
移転費用は466兆ルピア(約3兆5千億円)という壮大な計画です。

さて、そもそもどうしてインドネシアは首都の移転を決めたのでしょうか?
この首都移転が決まった背景には、インドネシアが抱える様々な問題があります。

ジャカルタから首都を移転させるに至った背景

ジャカルタの首都移転の背景にある問題
ジャカルタの交通渋滞や環境汚染は世界でもワーストクラス

首都移転の背景にはジャカルタが抱える様々な問題や、インドネシア国内における地域間の経済格差の問題があります。
これらの問題は急速な経済成長を遂げる中で一層大きなものとなっていました。

ジャカルタの交通渋滞がもたらす経済損失

インドネシアの人口の60%近くがジャワ島に住んでいます。
特に首都のジャカルタの人口の密集度はすさまじく、交通渋滞は「世界最悪」とも言われています。
「世界最悪」というと、どれくらいひどいのか気になりますよね。
その程度を示す数字として、ジャカルタの交通渋滞がもたらす経済損失を見てみましょう。
2018年のジャカルタの交通渋滞による経済損失は、なんと100兆ルピア(7,700億円)に及んだと試算されています。
首都移転には莫大な予算が必要になりますが、毎年これだけの経済損失が生まれているとなると、首都を移転するのは合理的にも感じます。
2019年に地下鉄(MRT)が開業したものの、まだまだ交通インフラは十分ではありません。
私の体感としても、地下鉄ができてことによってジャカルタの交通渋滞が緩和されたとはあまり感じられません。

ジャカルタの深刻な環境汚染

上記のような交通問題に加え、近年の急速の経済成長により温室効果ガスや大気汚染物質の排出が増加しています。
過去には大気汚染指数で一時、世界1位を記録したこともあるほど深刻なものになっています。
ジャカルタは現在でも大気汚染が深刻な都市の世界ランキングで常に上位に位置しています。

年々、海に沈むジャカルタ

1975年以降地盤沈下が著しく、北ジャカルタは毎年25cmずつ海に沈んでいます。
西ジャワ州バンドン市のバンドン工科大学の研究グループによると、2050年までに北ジャカルタの海岸沿いの一帯が海面下に沈むとも予測されています。

ジャワ島と他の地域の経済格差

経済活動の半分以上がジャカルタのあるジャワ島に集中しており、ジャワ島とその他の地域との間に大きな経済格差が生じています。
国民の所得水準は大きく、2014年の調査ではジャカルタ特別州と東ヌサ・トゥンガラ州の間で所得水準に12.9倍の差が生じていたほどでした。

こうした様々な人口や経済の一極集中の問題や、地理的なリスクが首都移転を後押しする背景となりました。
しかし首都を移転すると言っても、すべての機能が新しい首都に移るわけではありません。
新しい首都には「大統領宮殿」、「主要省庁」、「国会」の3つの機能が移ります。
一方で現在の首都であるジャカルタは、引き続き経済とビジネスの中心として機能することが期待されています。

ジャカルタに代わる新たな首都の場所とは

ジャカルタ首都移転先のカリマンタン島
カリマンタン島はオランウータンなど稀少な野生動物の生息地としても知られています。

それではジャカルタに代わって、首都となる都市はどのような場所にあるのでしょうか?
またどのような特徴を持った都市なのでしょうか?

ジャカルタに代わる新たな首都の場所は、カリマンタン島の東部を予定

移転先はカリマンタン島の東部のプナジャム・パセル・ウタラ県北と、クタイ・カルタヌガラ県のある位置に予定されています。
インドネシアは東西に点在する島々から構成されていますが、 カリマンタン島はこれらの島々の中心に位置しています。
また移転先は開発が進む州都サマリンダやバリクパパンに近く、国際空港、港湾、ダムなどがあり、高速道路も建設されています。

カリマンタン島の特徴

カリマンタン島はインドネシア、マレーシア、ブルネイの3国が領有する島です。
世界で3番目に面積が大きい島で、日本の国土の2倍近くあります。
マレーシア、ブルネイではボルネオ島と呼ばれ、インドネシアではカリマンタン島と呼ばれます。
もしかしたら日本人にはボルネオ島のほうが聞き馴染みがあるかもしれませんね。

カリマンタン島は鉱物資源や天然資源が豊富で、第2次産業が発達しています。
また熱帯雨林が発達しており、オランウータンをはじめ希少な野生動物が生息しています。
カリマンタン島を訪れる多くの外国人観光客のお目当てもこうした手つかずの豊かな自然です。
実際にTripAdvisorではマングローブツアーが東カリマンタン島の人気の観光として取り上げられています。
首都の移転がカリマンタン島の現在の豊かな自然環境を破壊してしまうのでは、という懸念も環境保護団体から上がっています。

ジャカルタから首都が移転されるのはいつ?

新しい首都は21年に建設が開始される予定で、当初2024年にジャカルタから一部の機能の移転を完了させる計画がありました。
しかしコロナウイルスの収束を優先していることもり、少なくとも1年は延期すると見られています。
また2021年9月にはスハルソ国家開発計画相が「新首都は短期間で建設することはできない。15年から20年はかかる」と述べていることから、
完全な移転は当分先になりそうです。

ジャカルタから首都が移転されることに対する国民の声

インドネシア民間調査機関Kedai Kopiに世論調査では、インドネシア全体では首都移転に賛成と答えた割合が35.6%、反対が39.8%、無回答が24.6%と接戦ながらもわずかに反対が多い結果となっています。
一方ジャカルタだけで見ると、反対が95.7%、賛成が1.8%と反対と答えた人の割合が圧倒的でした。
これは首都移転の計画の詳細に関する説明が不十分であることなどが原因となっています。

ジャカルタから首都が移転されることは観光に影響ある?

現時点では首都移転が計画通り進むかも不明瞭なのでなんとも言えません。
しかし新しい首都から入国する外国人観光客が増えることで、カリマンタン島の観光が盛んになることは想像できますね。

元々インドネシアは広大な土地や豊かな自然を持ちながらも、外国人観光客はバリなど一部の観光エリアに集中している状況です。
政府は過去に10 New Bali Projectと題して、バリに匹敵する新たな観光地を作っていく計画を掲げていましたが、実現には至っていません。
首都移転に伴い、新たな観光エリアにも目が向けられるようになるかもしれませんね。

個人としてはインドネシアでこのような大規模な建設が、計画通り進むイメージをあまり持つこができていません。首都の移転は1年どころではなく、相当後ろ倒しになる可能性も高いのではと考えています。
しかし様々な面でジャカルタに一極集中していることが、将来的に更に大きな問題になるのは明らかです。
インドネシアが世界4位の経済大国になっていく未来を考えると、現時点で首都移転が決定された意味は大きいのではないでしょうか。

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